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3.

3.
「ろすとえく…?なんだそれは。」
一人食事から宿へ帰ってきたラルフは、この町についての情報を月影に話していた。
「簡単に言っちまえば、流れもんの集団らしい。ほら、一昔前ここいらの国で銃器が普及して軍事費削減を叫ばれて、結局量りにかけられた国お抱えの騎士とか剣士の類が一斉に首切られた、ってのがあっただろ。」
「ニルギスか。たしかこの近くの国だったな。」
「そうそう、んでそのあぶれた連中がここら辺で徒党を組んで、勝手に傭兵団みたいなのをやっているとか何とか。それが、自分たちのことを『ロストエクイテス』とか名乗ってるらしいぜ。」
「それがどうかしたのか。」
「そいつらが、最近この町にしょっちゅう現れるんだそうだ。で、そいつらがよく口にする言葉が、「鈴里」「終わりの神」ってな話を酒場の連中から聞いたのさ。」
月影はさして興味をもった様子もなく、読んでいる本から目を離さない。
「その者たちが直接かかわっているという確証はあるのか?」
ラルフは待ってました、といわんばかりににやりと笑い、メモのようなものを懐から取り出した。メモには地図らしきものが描かれている。
「それは?」
「いやあ、ちょうどよくロストエクイテスの一員らしきやつ、が絡んできたんで、のしてやったらこんな紙を持ってたって塩梅でね。」
「ちょうどよく、ね」
ちらり、と月影はラルフを見やった。
彼 が言っていることはつまり、酒場の人間に言われたか、彼らの会話を聞き取ったかをして、その集団の一員だと判断した人間をわざと怒らせた…ということであ る。本来ならこのような不確定な情報だけで判断し、目立つ行動をとることは、自分の周りの人間にはさせない月影だが、ラルフだけは特別である。鼻が利く、 とでも言えばいいのだろうか。いい加減なように見えて、ラルフの観察眼と勘のよさは折り紙つきであった。
「鈴里の辺りにしるしが多いな…あとは…仕事の取引相手か?」
「それだけじゃないみたいだぜ。ここ見てみろ。」
「…まるで戦争前の諜報活動報告だな。」
鈴里の地形、人員の数と配置、町・建物の形状…。少なくとも、集落の入り口から正々堂々と入る気はない事が伺える内容である。
「きな臭いよな。こりゃ、元騎士様連中何かよからぬ事考えてんぞ。」
「確かにな。しかし、鈴里を調べるのが先決だろう。元来の目的を忘れるな。」
月 影はうなずきながらも、あくまで自分たちの責務を優先させる。せっかく仕入れた情報に対して、食いついてくれなかった同僚に多少がっかりしながらも、ラル フもその意見には従う事にした。明日は照瀬から鈴里へ向かう。古の神を召喚したという人々に会い、その真偽を確かめるために。
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